ブログ

我が国が、これまで築いてきた富と自由と独立を守りたいのであれば、少子化とこれに伴う人口減少に歯止めをかける必要がある。

国家予算で、社会保障全体のうち少子化対策の占める割合は7.2%である一方、医療年金介護の占める割合は66.3%。このような大きな開きが見られる。

ここで、諸外国の少子化対策を参考にしてみる。

その前に、そもそも他の国では「少子化対策」という言葉は使わない。「家族政策」が通常の表現である。

我が国では、戦前の家父長制度を彷彿させるためか、政府は「家族」という言葉を避けている。しかし、様々な家族形態はあってもいいものの、地域や社会の基本単位である「家族」が重要であるのは間違いない。この基本共同体を応援するのが「家族政策」であり、これを推し進めることによって、子どもを増やすことを先進国の一部はかなり力を入れているのだ。

各国比較する上で、国によって経済規模が違うので、分母にGDPの数字、分子に家族政策の予算額をおいて計算すると以下の通りになる。

家族政策予算額/GDPの比率

GDP比

出生率

日 本

1.29

1.43

米 国

0.65

1.77

ドイツ

2.28

1.57

フランス

2.96

1.92

スウェーデン

3.54

1.85

イギリス

3.57

1.79

米国はご案内のとおり、自己責任の強いお国柄なので、日本よりも予算額が少ない。しかし、他の国は我が国を大きく上回っていることがわかる。

こうした中で、日本政府はあと5年ほどで出生率を1.8%まで引上げると言っているが、これは不可能と言わざるを得ない。

もちろん、上記の表から分かるように、必ずしも家族政策に予算をたくさん使ったからと言って、出生率が上がるとは言えないが、だいたいの傾向は見えてくる。

外国人労働者などに現実的な問題があるため、私はかねてから1.29%という日本の家族政策関連の予算を増やしていくしかないと訴えてきた。

フランスやスウェーデンでも、一時期出生率が1.5~1.6までかなり落ち込んだが、家族政策の予算を増額し、各種支援策を打つことによって回復させたこともあるので、日本もこういう決断をすべきではないだろうか。

そもそも日本は、既婚女性の出生率は他の先進国に比べてもそんなに低いわけではないが、ライフスタイルの変化や結婚形式や価値観の多様化に伴い、諸外国と比較して晩婚化が顕著であり、また未婚女性も増えていることが出生率の低下に直結している。

先のブログで紹介した通り、内閣府のアンケートによると結婚していない・しないのは「経済的な理由」が挙げられている。

これは避けて通れない大きな課題である。

このまま何もしなければ、現役世代の人口が急激に、そして大きく減る。いや、もうすでにこうした流れの真っ只中にあると言える。これは経済成長にも悪影響を及ぼし、防衛力や国力そのものにも影響する。

徹底的な家族政策を実行すべきではないだろうか。

徹底的な家族政策こそ、必ずや日本経済と国力の底上げにつながると確信している。

各種選挙や、ユーチューブの準備・撮影などに忙殺され、久しぶりにブログを書く。10月1日に消費税が10%に引上げられたので、自然と増税の話になってしまう。

皆様もご存知のとおり、消費税10%への引き上げは過去2回、いずれも経済的な理由で延期された。しかし、その理屈でいえば、昨年のブログにも書いたように、今は過去2回延期したときよりも経済的に不透明感が漂っていて、本当は今回こそ延期をすべきだった。

最初に安倍総理が増税を延期したのは、今から5年前の2014年11月だった。確かにこの時は、消費税率が同年4月に8%に引上げられたので、当然、経済統計の数字も悪かったのは事実。しかし、実際に10%への増税が予定されていたのは、延期を発表した1年後の2015年10月のこと。いくらなんでも増税直後の数字が悪いからといって増税予定の1年前に増税延期を決定するのは、判断が早すぎるといわざるを得ない。現実に、その後の経済はそれなりに順調に推移していったのだ(2016年実質GDPはプラス1.0%)。

次に延期したのは、今から3年前の2016年6月。この時の直近の統計は、実質GDPが1.7%も伸びていた。それでも総理は「原油価格・商品市況が暴落している状況がリーマンショックに似ている」という理由で延期に踏み切った。しかし、この「原油価格・商品市況が暴落している」のは、当時、米国でシェールガスが発掘されたことや、ドル高騰によることが大きく、景気そのものには直接関係なかったのである。

では、今回の経済状況はどうか。

昨年末から警鐘を鳴らしているとおり、昨年から欧州、中国の経済が減速している。頼みの綱の米国も、今や利下げにより景気の延命措置に汲々としているのである。私が勝手に言っているのでなく、世界の専門家からも金融恐慌の可能性すら云々されている。

何よりも心配なのは、消費増税で一番打撃を受ける中小企業や個人事業者だ。これらの大半は「働き方改革」によってこれから想像以上に厳しい局面を迎える。長時間労働の抑制、「同一労働同一賃金」などは労働者にとっては当然の措置である。しかし、政策の良し悪しとは別に、中小企業の大半にとって相当な負担になることに間違いない。労働条件が改善しても、職場が倒産で消えたら元も子もない。

こうしたことから、世界経済が悪化する中で、中小企業は不景気・働き方改革・増税の「三重苦」を背負っていくことになるだろう。

つまり、現在の景気状況は、過去の増税延期判断の時に比べて、少なくとも同じくらい不透明であり、これまでと同じ理屈でいけば今回の増税は延期すべきだった。

ただ私自身は、2回目の増税延期の時点で、おそらく総理はもう延期しないだろうと踏んでいて、そのように選挙でも訴えた。というのも、延期時に安倍内閣は消費税増税法を改正して、なんと「景気条項」をまるまる削除したからである。「景気条項」というのは、「景気が悪ければ増税はしなくてもいい」という至極当然の法律規定だ。逆に、この規定を削除することは、もはや「景気に配慮せず増税をしても良い」と解釈するのが普通だからだ。

なぜこのような不思議な改正をしたのか。

おそらくは、財務省や与党内の一部の議員の増税派を説得するためだろう。増税派は、安倍総理が2回も増税延期したので「2度あることは3度ある」と疑心暗鬼になり、総理がそれらを払拭し説得するためには、「景気がどうあれ、次回は必ず増税するので安心しろ。その証拠に消費税増税法から“景気条項”を削る」と手形を切らざるを得なかったのではないか。

いずれにせよ、消費税増税法から「景気条項」が消した時点で、安倍総理は自ら退路を断ち、今回の誠にタイミングの悪い増税がほぼ確定したのである。

我が国経済の将来展望に暗雲がかかっている。

数回にかけて、自分なりの処方箋のあらましを書き記す。

大雑把には、前回のブログでも訴えた通り、「国民が将来の成長に希望をもてるように、労働力人口を増やし、技術革新を活性化する具体策を実行すること」が重要だ。

今回は、日本の成長率のもっとも重たい足かせとなっている労働力人口(15歳から64歳の人口)の減少をどう最小限にとどめるか、ということに焦点をしぼりたい。

そもそも労働力人口を増やす政策には、次のような選択肢しかない。

1)女性、お年寄りの社会参加を促す。

2)日本国民=人口を増やす(少子化対策)。

3)外国人労働者を増やす。

これ以外に、労働力人口を増やすことに直結はしないが、労働力・人手不足を補うため4)人工知能(ロボットなど)の活用もある。また、消費を増やすだけの観点からいえば、5)観光政策もある。

基本的にすべてやればいいのだが、安倍政権では1)にあたる「一億総活躍」や、5)の観光政策をすでに推進している。ただ、内閣府の試算では、「女性の社会参画先進国」として知られるスウェーデン並の女性労働力比率にしたとしても、また、退職年齢を75歳に引上げても、残念ながら全体の労働力人口の減少には微々たる効果しかないという。

また、同政権では、3)の外国人労働者の導入も中途半端な形で実行しはじめているが、これは私自身きわめて慎重な立場だ(以前のブログを参照)。百歩譲って、安倍総理が宣言しているように34万人の外国人を入れたと仮定しても、30年後にはもっとも労働力人口が多い時よりも約2700万人も減ってしまう。ほとんど「焼け石に水」なのである。

つまり、今の政権が推進している政策の方向性は間違っていないかもしれないが、これだけでは全然足りないのだ。

そこで、時間とお金がかかり、地道で大変かもしれないが、私はやはり、2)の日本国民=人口を増やす政策を絶対にやらなければいけないと考えている。女性が一生のうちに産む子供の数(=出生率)を今の1.4から2.0まで引き上げるのに、20年以上かかる。そこから人口そのものに影響を与えるのには、さらに時間がかかる。当然、少子化対策には長い時間を要し、即効性は求められない。

「もう遅い」という声もあろうが、それでもやるべきである。

やらなければ、よほど人工知能がうまく普及しないかぎり、何百万人の外国人労働者に未来永劫頼らないといけないのだ。「外国人も嫌だ」というのであれば、経済はマイナス成長に衰退していくまでである。「良いとこどり」は許されないのである。

古代より常に一流の国民国家としてつづいてきた日本国を、今後も豊かで平和な形で残さなければいけない。まさしくそれが政治の仕事である。愛国心とは、先人が残してくれたこの立派な国を、今生きている人たちのためだけでなく、いくら時間がかかっても、子々孫々に継承することである。

そもそも少子化の原因で一番大きいのは、やはり経済的な理由である。例えば、内閣府の平成26年の調査によると、

1)「結婚の障害」として、男女ともに「結婚資金」という理由が最大である。

2)すべての年齢層において、非正規雇用者の結婚率が低い。

3)「理想の子供の数」が「二人以上」と答えた人は6割以上もあるが、これを実現できない最大の理由として「子育て費用」があげられている。

こうしたことから、非正規雇用に対する規制を強化することや、ただ何となく大学に行く風習を改めて職業訓練学校を強化し、「手に職」をもつ若者を輩出することも大事であると考えている。

まず今回は、少子化対策としての「家族支援」について詳細に述べる。

「家族支援」というのは、国の予算等により、家族を支援するための現金支援またはサービスの提供のことだ。具体的には、出産扶助、児童手当、保育所運営費、社会福祉(児童扶養手当など)、育児休業給付、就学援助のことである。日本では「子供手当」、「教育無償化」、「保育料の無料化」などの言葉でおなじみだろう。

「家族支援」の国際比較をすれば、先進国の中でも、日本の予算規模は非常に小さい。GDP比でいえば、我が国が1.25%、英国が3.76%、フランスが2.85%、スウェーデンが3.46%、ドイツが2.17%である。もっとも「小さな政府」を標榜する米国は0.72%と低いので、この比較自体に意味があるわけではない。

むしろ、注目すべきなのは、「家族支援」の充実しているフランスやスウェーデンでは、出生率が1.5~1.6台まで低下した後、この政策によって目立って回復していることである。直近では、フランスの出生率が1.98(2014年)、スウェーデンの出生率が1.88(2014年)となっているのだ。

我が国の出生率は、2005年に史上最低の1.26まで落ち込んでから、じわじわと回復して1.4まできている。しかし、「道はまだまだ遠し」である。

効果のある「家族支援」を実行するために最大の障害になるのは、予算の財源を確保することである。1994年の「エンゼルプラン」から、政府が少子化対策を打ってきているが、ほとんど効果が出なかったのは、基本的には予算規模が小さすぎるのである。

では、どのくらいの予算が必要なのか。

今、日本政府は5.5兆円ほどの予算を「家族支援」に使っている。これをフランス並みの水準に増やすためには、今よりもざっと7兆円ほど追加しなければならない。総額12.5兆円が必要である。

この巨額の財源をどうするのか。

私は一つの財源に頼らずに、1)超長期国債=2兆円と、2)税金の組合せ=5兆円により確保すべきだと考える。当然、これらの財源は「家族支援」にしか使えないものとして、法律でしばりをかける(「特定財源化」)こととする。

1)の超長期国債については、「家族債」として50年後に返済するものを発行する。というのも、「家族支援」で子供が増えて、彼らが20年後には仕事をもって税金を納めることになる。出生率が上がるのに20〜30年間かかることを踏まえれば、50年後に「家族支援」により増えた労働力(ひいては税収)で、借金を返すという発想である。この際、永久国債(利払いのみで、元本を返す必要ない借金)や無利子国債(利払いはしなくても良い借金)についてもあわせて検討すべきである。

超長期国債で年間2兆円を財源として確保するのと同時に、残り5兆円については増税をお願いする。すなわち、1)消費税1%=2.5兆円、2)法人税+所得税=両税あわせて2.5兆円分。とりわけ法人税や所得税の中身については、次回詳しく説明したい。

当然、まずは、国会議員の数を減らすことや、行政改革などの「ムダ使い」にメスを入れなければいけない。ただし、これらの財政的な効果はそれほど大きくない。国会議員をすべてクビにしても約800億円強の捻出しかできない。国家公務員の人件費も、自衛隊を除けば、3兆円強である。

それでも、こうした「身を切る改革」を断行すべきであるが、いずれにせよ、国民の皆さんにどうしても負担をお願いしなければいけないのである。

大事なのは、借金と三大基幹税(所得税・消費税・法人税)の組合せにより、今生きている国民の幅広い層と、我々の子々孫々とが、それぞれ負担を分かち合うということである。

また、増税をする際には、当然、景気状況を踏まえる必要があるが、一方で「家族支援」による7兆円のかなりの部分が消費に回ることの景気効果も注目すべきである。

ここ数年、戦後最長の景気回復といわれても、個人消費がなかなか増えない理由には、大企業が空前の利益を上げながらも、内部留保を増やすだけで、賃上げに回されていないことが挙げられる。「賃金上昇→消費増」という好循環が働いていないのだ。「家族支援」の法人課税や高額所得者への所得税強化により、大企業やお金持ちから、もっと消費をする階層にお金を流すことで、回り回って企業にも富が循環するのである。

最近、厚生労働省による賃金構造基本統計の不正問題が発生し、厚労大臣は実質賃金がマイナスで推移してきたことを認めた。名目賃金のほうは、リーマンショックの時から水準は下がっているものの、ずっとプラスで推移している。ところが、物価上昇を加味し生活実感に近い数値である実質賃金は、ここ数年マイナスで推移しているのだ。いくら名目の賃金が上昇しても、物価上昇がこれを上回っている分、実質マイナスなのである。

とりわけアベノミクスは「デフレ脱却」を目標としている経済政策である。一般的に「デフレ脱却」とは、不景気から「脱却する」ことだと思われている嫌いがある。しかし、実際、「デフレ脱却」というのは、インフレ(=持続的な物価上昇)を引き起こすことであり、異常な金融緩和もこのためになされている(アベノミクスの目標は、毎年2%のインフレである)。

つまり、力づくで、無理やり物価を引上げている政策なのだ。

ところが、仮に物価を上げることが良いことだとしても(私は必ずしもそう思っていない)、生活者にとっては、賃金が増えず、物価だけ上がったとしたら、それは迷惑な話であり、消費が伸びないのも当然である。

大体、個人消費はGDPの6割以上を占めていて、景気を左右する最大の項目だ。また、企業や投資家ではなく、一般生活者の「豊かさ」を示すもっとも明確な指標でもある。これが盛り上がらないのが、「実感できる景気回復」とならない一番の障害である。

こうしたことから「家族支援」は、長期の人口を維持するだけでなく、短期的な景気にも貢献するものである。

いずれにせよ、こうした借金・増税は、それなりの負担を国民にお願いすることになり、誠に心苦しいが、本格的な「家族支援」を強力に実施しなければ、経済成長が年々下がることを避けられない。今後20年間のうちに、企業は人手不足で倒産したり、あるいは、海外に移転することになれば、地元や国内で就職することが厳しくなっていく。みんなで力をあわせて、こうした若い世代の「飯のタネ」を確保すべきではないでしょうか。

それだけではなく、若い世代の人口が劇的に減少することは、お年寄りのための社会保障、農村地域の国土保全、国家の防衛力もほぼ必然的に弱体化するということである。

早急に、国力増強のための「家族支援」を真剣に検討すべきである。