衆議院経済産業委員会において、経済成長戦略大綱関連3法案について質問しました。
経済活性化を図るためには財政再建至上主義にとらわれるべきではないことを主張したうえでサービス産業の生産性向上に向けて具体的にどのような取り組みを進めるのか今回の法案の支援スキームの実効性を高めるために国、地方公共団体、事業者等がそれぞれどのように連携していくのか、といった点について甘利経済産業大臣に質問しました。

北神質疑

2007年03月28日 経済産業委員会
○上田委員長 次に、北神圭朗君。

○北神委員 私も、経済戦略関連三法案について御質問したいと思います。最後の方になりましたので、重複する論点もあると思いますし、逆に、特に三谷委員とのやりとりで、ちょっと私も新たに浮かんできた疑問とかそういうのもありますので、御質問したいと思います。

 まず最初に、私も一般質疑のときに御質問させていただきまして、今回の、経済成長戦略と言いながら、大臣のお言葉で言えば、ちょっとシャビーな内容になってしまっている。これは別に、要は、切りがないんですよ。予算要求をすれば、それは、皆さんの立場からすれば大きい方がいいということになるけれども、いろいろ予算の制約がある。

 ただ、私が申し上げたいのは、これは考え方の問題で、例えば小泉政権のもとでこういう答えがあったら、私はそれで納得していたと思うんですよ。

 というのは、彼は、構造改革なくして成長なしと。その構造改革というのもいろいろ定義はあるけれども、恐らく財政再建というのは非常に大きな部分を占めていた。だから、そういった中で、経済に配慮しないといけないと言いながら、やはり予算の制約があるからそう簡単にはいかないという話はわかるんですが、安倍政権は、わざわざそれを転換して、成長なくして財政再建なしということも言っておられると思います。

 これは単に、今まで余り触れていなかった経済成長の方にちょっと重点を置くという意味合いなのか。私が最初思ったのは、これは、ある程度、短期的な財政再建というものをある意味ではやらなくても、まず経済成長を優先して、それで財政再建というものを図るということなのか、その認識をちょっとお聞きしたいと思います。

    〔委員長退席、中山(泰)委員長代理着席〕

○甘利国務大臣 まずその前に、私がシャビーな内容と申し上げたわけじゃなくて、シャビーな内容と御指摘がありますが、実は予算だけじゃなくてこういうことをやっていますからと申し上げたのでございまして、つくった者みずからがシャビーと言うと、ちょっとこれは問題になってしまいます。

 小泉内閣のときと安倍内閣のときで財政再建のプライオリティーはどうなったんだというお話ですが、財政再建は、ポジションは変わりません。歳出歳入一体改革、財政再建を、二〇一〇年代初頭までにプライマリーバランスを黒にするという目標をしいて、その工程表をつくっているわけでありますから、財政再建が後退したということではないのです。ただし、歳出歳入一体改革であると同時に、経済財政一体改革なんです。

 これは何を言うかといいますと、かつて政府はキャップをかけて財政再建をやろうとしました。そのときに、特別委員会をつくりまして、私は理事をやりました。そうしましたら、半年もたたないうちに前言訂正で、今度は、それをやめにするという特別委員会をつくって、その筆頭理事をさせられたわけであります。我ながら、半年前にやっていたことと今やっていることで全然違うことをやっているので、どうなっているんだという思いにさいなまれました。

 そこで、何が間違っていたかというと、ただキャップをかけていって、頭を押さえて出入りを調整して財政再建をやっていくというのは、実は失敗する。健全な成長経済というバックボーンを抜きにして帳じり合わせだけでいったら、経済が失速したらもっと帳じりを強く合わせなきゃならない。そうすると、もっと失速する、もっと合わせるというマイナススパイラルになっちゃう。その反省が強くあるんです。

 でありますから、歳出歳入一体改革なんだけれども、バックボーンたる健全な成長経済というのを忘れたらこっちが失敗しますよという二本立てになっています。ただ、その際に、歳出歳入一体改革がありますから、予算のキャパを広げるということはできないので、質の改善をやっていこうという趣旨です。

 そのために三千億の成長枠をとったというのは、経済成長に資するような政策予算については優先的に予算をつけていく。本当は、私は別枠にしてくれと言ったんです、その枠は。内数じゃなくて外数に、それが本当じゃないのと言ったんですが、これは攻防戦で、財政再建のたがが緩むということで内数になりました。ただし、優先的にそれは確保していきますということになりました。

 私自身は、諮問会議等で、次なる予算、二十年度のときには、もっとこの枠を広げて設定してくれと。つまり、成長を牽引するような政策は優先的に金をつけるという哲学をずっと引き継いでほしいということを主張しているわけであります。

 キャパは広げないけれども、質を、成長型に予算の質を変えることによって、キャパを広げたと同じような効果を期待する。それとあわせて、お金のかからない成長戦略といいますか、規制の改革とか制度刷新とか、そういう仕組みの方にメスを入れることによって成長を牽引していく。そして、そういうことを通じて、経済を失速させないで歳出歳入一体改革を行うということであります。

○北神委員 大分はっきりわかってまいりました。

 ただ、大臣のおっしゃっていることはやや矛盾するところがあると思うんですよ。

 それは、財政再建の中で質を変えることによって経済成長を図ると言われながら、内数じゃなくて外の枠として。いや、私はそこは、むしろ大臣の後段のお考えの方が正しいと。これは個人の考えですが。

 というのも、おっしゃるように、歳出歳入改革をやっていると、これは要するに予算を減らすことと増税をすることですよね、これをやっていると、当然需要は減っていくわけですよ。一方で、経済成長と言いながら、しかもそれも今の既存の予算の枠内でやっていると、成長なくして財政再建なしというスローガンに象徴されるような、めり張りのきいた大胆な政策ということからはほど遠いというふうに思いますので。

 私はやはり、前も一般質疑のときに財務省の呪縛ということを言いましたが、これは本当にネックになっているというふうに思います、本格的にやるんだったら。そのためには、研究開発とか税制を提案されたということですが、直接投資をするとか、やはりそういった部分とか教育とか。教育も、伊吹大臣にも質問したけれども、あの予算も本当に〇・二五%ふえたぐらいかな、当初予算ベースで。全然、力を入れると言いながら、結局小泉さんの時代の財務省の呪縛からなかなか離れられない。

 ただ、もちろんこれはこういう考えに立った上での話でありまして、いや、成長なんか、政府が幾ら力を入れても、そんなものは結局民間がどこまで頑張るかによって変わるんだとか、あるいはいろいろな外的な要因で変わるんだ、だからそんなことをすべきじゃないという発想ももちろん、財務省なんかはそういう発想を持っていると思いますが、あると思うんですが、本当に経済成長なくして財政再建なしという因果関係を考えるのであれば、やはりそのぐらいの大胆な政策が欲しいなと。

 だから、大臣が言われたように、ぜひ外枠で、要するに、経済成長というのは、教育であろうと社会保障であろうと科学技術であろうと、これがまさに税収を生む一つの大きなエンジンなんだという位置づけをしてもらうべきだというふうに思いますし、前の二階大臣にも私も何度も申し上げてまいりましたが、ぜひそのところを今後の政策についてよろしくお願いをしたいというふうに思います。

 本題の方に入りますが、今度、経済成長戦略ということで、二・二%を目標にする、二〇一五年までですか、十年間にわたって、実質成長率二・二%を目標とする。これもいろいろ、さっき三谷委員と根拠の話がありました。根拠の話も、私も昔、経済成長とか役所でやっていたので、こんなもの、ちょっといじったら幾らでも変えられる話なので、余り私はこんなことで時間をとるつもりはないんです。

 一方で、考え方としては、まずお聞きしたいのは、この三法案を通して、これで二・二%の成長を図るという理解でいいのか。要するに、さっきの話で、政策なかりせば〇・八%、それで、この法案を通してこれを実行したら一・四%分ふえるから二・二%になるという考え方でいいのかどうか、確認したいと思います。

○鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 施策を講じない場合のベースの成長率が〇・八%というふうに考えておりまして、それで、施策を講じた場合が一・四%ということで、足して二・二%ということでございます。

 ただし、その施策というのは、この法律三法だけではなくて、経済成長戦略大綱に書いてあるいろいろな施策です。この三法以外にも、先ほど大臣から申し上げましたように、減価償却制度の抜本的改正であるとか、ほかの成長戦略、先ほどの三千億で認められたいろいろな政策、こういう政策を、今後十年間といいますか、成長戦略大綱において一応私ども書かせていただいた政策を実施した場合に見込める数字ということでございまして、この法律だけでというわけではございません。

○北神委員 この三法だけじゃなくて全体ですね。成長戦略大綱全体を実施して一・四%だということですね。

 それで、実は先週、安倍総理が、大臣と総務大臣、あと金融担当大臣を官邸に呼んで、官邸に呼んだのかちょっとわからないんですけれども、地域経済活性化策をまとめるように指示を出されたと。これは事実かどうか、確認したいと思います。

○甘利国務大臣 私と金融担当大臣と総務大臣が官邸に呼ばれました。事実でございます。

○北神委員 それで、私もその後の経緯が全然わからないんですが、金融担当大臣は、たしか記者会見で、それを受けて、リレーションバンキングについてちょっと考えようかなということを言われましたが、大臣は何かお考えになられるんですか。

○甘利国務大臣 今回の三大臣が呼ばれたというのは、地域金融の側面から地域の中小企業の活性化を図っていくということだと思います。

 先ほど来、話が出ておりますが、都市銀行の不良債権比率は極めて劇的、効果的に下がりましたが、地方銀行、信金、信組の不良債権比率はまだ高いわけでありますし、それと、債務を抱えています地域中小企業の再生を一体的に取り組んでいかなきゃいけないという問題提起からだというふうに思っております。

○北神委員 それでは、今のところ経済産業省として具体的な、何かこういうことをしようとか、そういうことは余りお考えになっていないということですか。

○甘利国務大臣 今、具体的には検討中なんでありますが、おっしゃいますように、リレーションバンキング、つまり、大銀行が決済処理機能としての金融機関、トランザクションとしての機能は、どちらかというと機械的な精査になりますね、企業診断。ところが、地域金融機関というのは、その経営者の能力とか会社全体の、従業員のモチベーションとか、あるいは潜在発展能力とか、そういう、いわゆる大銀行の査定に用いる機械的数値じゃない、地域金融としての、その企業の見えない信頼性というか将来性をしっかり検証して、そして金融措置を講ずる、そういう機能を大切にしなきゃいけない。中小企業なんというのは、紋切り型の数字でそこの能力がはかれないという分野が多いですから。そういう、金融と地域中小企業との関係を構築するという視点から、いろいろ考えたいというふうに思っております。

○北神委員 私が申し上げたいのは、安倍総理が地域経済活性化策というものをやれと、中身は地域金融ということかもしれませんが、恐らく総理の頭では、総合的に考えろという御指示だというふうに思います。

 それだったら、今せっかく、経済成長の目標を二・二%だ、それで経済成長戦略大綱で一・四%を達成するんだ、それで二・二%だということを言っているのに、そしてまだ、衆議院において、この委員会において審議をし始めているのに、安倍総理がそういうことを言うというのは、要するに、では二・二%をさらに上げるつもりなのか、成長目標を。あるいは、審議をし始める前に、これでは中身が足りないから、もう少し地域活性化のために力を入れろと言っているのか、その辺がちょっと不明確だと。

 大臣は、やはりそこで、いや、もうちゃんとここで経済成長戦略大綱というのをやって、さっきもいろいろ議論が出てきた、地域の活性化というのもやっているんだ、それで金融の話だって、中小企業基盤機構、ここでファンドをつくってやろうとしているんだというふうに主張すべきだと思うんですが、その辺、どうでしょうか。

○甘利国務大臣 安倍総理は皆承知の上で号令をかけていらっしゃると思うんですが、安倍総理は割と人使いがうまい人でありまして、恐らく、金融担当大臣は再チャレンジ担当でもありますし、金融の側面から今までの政策をさらに補完して、揺るぎのないものにせよという、金融担当大臣を中心のスキームで活躍の場を与えているということではないかなと思います。

○北神委員 その辺、人事の使い方の話で、私らにはよくわからないんですが。

 やはり選挙前でこういうことを打ち出しているという部分もあるんじゃないかなと私は何か勘ぐるわけでございますが、やはりそれはちゃんと、これできちっとやっているんだということを主張して、これを審議する前の段階から地域活性策をやれというのは、やや順序がおかしいなというふうに思いますので、それだけちょっと御指摘をさせていただきます。

 もう一つ、今度はスキームの中の話に移りたいと思いますが、今回政府が提出した産業活力再生特別措置法、中小企業による地域産業資源を活用した事業活動の促進に関する法律、企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律、三法案について共通項がある。これはスキームの部分でありまして、要は、国の方が基本方針を出して、都道府県あるいは事業者、こういったところ、地方公共団体あるいは事業者が計画をつくる、それに基づいて必要な援助措置というものをやるというスキームだと思います。

 これも、細野議員あるいはその前の三谷議員もいろいろ指摘があって、いろいろちょっと腑に落ちない、この方法によって。今までも、規制改革特区ですかとか地域再生法とか、去年もこの委員会でやったまちづくり法案とか中小企業ものづくり基盤技術法案とか、大体このスキームを使っているんですよ。これは、それこそ財務省に対して、これはばらまきじゃなくて、ちゃんと、きちっとやる気のあるところだけに対して支援するんだというアリバイづくりの部分もあるというふうに思います。

 今回、中小企業の対策としてやはり問題になるのは、さっきも三谷委員が、目的は何なんだ、地域活性化なのか、それとも中小企業対策なのかというところは実は大きいと思うんですよ。たしか、さっき事務方の方から、これは中小企業の事業の対策なんだ、それが一番の目的だというふうに言われましたが、資料を見ていると、できるだけ両方入れているんですよね。地方の対策でもある。

 そこで、ややこしいのは、例えば地域再生法とか構造改革特区だったら、これは、それぞれの都道府県がいろいろ知恵を競って、やる気のあるところを出していろいろな案を出してくる。その努力に報いて、一応地方の責任者と思われる地方公共団体が自分の努力によって援助をもらえるとか法律を変えてもらおうとか、そういったスキームだ。今回、中小企業というのは、別に地域には限らないわけですよ、全国の中小企業を対象にしている。そこが混同しているのが一つ今回ひっかかるところじゃないかなというふうに私は思っております。

 具体的に、つまり、国の方が都道府県にお任せ状態になっちゃうんじゃないか、要するに、皆さん、計画をつくりなさい、そして、広報、周知徹底も皆さんでやりなさい、我々は上がってきたものを認定するということになる。そうしたら、都道府県によってばらつきが出てくるおそれがある。

 規制改革特区とか地域再生法の場合だったら、いや、それは努力したところがちゃんと報われるようになっているんだということが言えるけれども、これは経済成長戦略であり、その中の中小企業対策という部分がありますので、例えば同じ企業でも、たまたまやる気のない知事の地域に存在していた場合は、もしかしたら情報も全然来ないかもしれないわけですよ。やる気のあるところは、例えば説明会を頻繁にきめ細かくやって、あるいは地域再生法のときはキャラバンまでやった。そこまでやるかどうかは別にして、都道府県によってばらつきが出てくるおそれがあります。

 この点について、どうやって、きちっと各都道府県がまじめに掘り起こしをやっているかどうかをフォローするのかというのをお聞きしたいと思います。

○渡辺(博)副大臣 確かに、委員おっしゃるとおり、やる気のあるところ、やる気のないところ、そのばらつきが出る可能性というのは否定できないというふうに思います。

 そこで、今回の法案について、私どもは、まずはしっかりと広報をしていかなければならないというふうに思っております。その中で、各地で説明会をまず開催いたします。そしてまた、わかりやすいパンフレットの作成や配布をいたします。それから、金融機関や商工会議所などの経済団体と連携して、施策の紹介、シンポジウムの開催などに取り組んでまいりたいというふうに思っております。

 法案の具体的な内容としまして、産業活力再生特別措置法につきましては、これは平成十一年にできた法律でありますけれども、その後、十五年に改正が行われました。この改正によりまして、協議会が、これまで全国で一万件の企業からの事業再生の相談を受けております。そしてまた、着実に実績を上げてきているということであります。その際に広報宣伝として使った本がこういったハンドブックでございます。したがいまして、こういったハンドブックに基づきまして、それぞれの地域で宣伝をさせていただきました。

 また、中小企業の地域資源活用促進法案につきましては、地域中小企業サポーターというものを委嘱いたしまして、地域資源活用による事業促進に向け、国民運動として盛り上げていきたいというふうに思っております。

 また、地域産業活性化法につきましては、現在、関係六省、経済産業省を初めとしまして、国土交通省、厚生労働省、文部科学省、農林水産省、そして総務省という関係六省から成る連絡会を設置しまして、今後、地域ブロックごとにこれを展開してまいります。地域がこの法律に基づきまして基本計画を策定する際のアドバイス、そしてまた相談に積極的に応じて、必要な支援を講じてまいりたいというふうに思っております。

    〔中山(泰)委員長代理退席、委員長着席〕

○北神委員 広報をしっかりやるという話ですが、今、渡辺先生が言われたのは、国の方が各地方に出向いて広報宣伝をするという話ですか。それも、国から都道府県の役所に対してやるのか、それとも商工会議所とかそういった中小企業団体とかに対してやるのか、お聞きしたいと思います。

○渡辺(博)副大臣 広報宣伝につきましては、当然のことながら、国もしっかりやりますし、都道府県もしっかりやります。そして、当然のことながら、地域の市町村並びに商工会議所、商工会、こういったところにもしっかりと周知徹底をさせていただきたいと思います。

○北神委員 ぜひその辺を、大前提ですので、お願いしたいというふうに思います。

 去年もいろいろな、さっき申し上げた経済産業省の法案で同じようなスキームを使っていて、そういうのを検証されたことはあるんですか。要するに、これは、かなりやる気のある知事のもとだったらすごくいろいろ反応がいいな、でも、やはり従来型の行政をやっているところだったら全然そういうのが出てこないなとか、そういった検証をやったことがあるのかどうか。そして、もしあるんだったら、どうやってその教訓を生かしていくのかというのをお聞きしたいと思います。

○石毛政府参考人 ものづくり法だとか新連携だとかいろいろな仕組みはあるんですけれども、それぞれこれは、先生御質問されましたように、助成対象を確定するというねらいがあるわけです。その際に、法の立て方にもよるんですけれども、ものづくりは別に都道府県が直ちにそのスキームの中に出てくるわけではないんですね。新連携も同様なんです。そういうことなものですから、それら二つについて今検証して云々というのはちょっと答えにくいわけでございます。

 ただ、今回の法律につきましては、私ども、こういうスキームを立てておりますけれども、基本方針に沿って各都道府県が、どうやったら自分のところの地域経済を活性化できるのか、その際の、活性化するためのいわば効率的といいますか効果的な手法として、私たちは、地域資源を活用するやり方があるのではないかということを提示しているわけです。したがいまして、都道府県の知事さんの思い方によって、当然、活用の程度は変わってくることはあり得るのかなとは思います。

 ただ、私たち、それで放置をするということではなくて、地域資源を各都道府県が構想の中で指定していくわけですけれども、それを国の方で認定するというのを一つ入れております。したがいまして、そこで、今先生がおっしゃいますような、地域間で物すごく大きなばらつきが出て、ちょっといかにもこの県はいかがなものかということがありましたら、私どもは積極的に、もっとこうしたらいいのではないかということも言っていく必要があるだろうというふうに思っております。

○北神委員 ぜひ、そういった認定の段階とかそういったところで、これは中小企業の活性化がやはり最終目的だと私は思うので、余り力を入れていない自治体のところはやはり皆さんが適切なアドバイスをしていかないといけないというふうに思いますので、そこをよろしくお願いしたいと思います。

 また、それについて関連ですが、計画が上がってきて、それを認定する。例えば中小企業の地域資源の法案でしたら、その地域地域の地域産業資源というのは何なのかということを都道府県が定める、それを国が認定するわけですよね。

 その段階で、国の中央官庁の役人に、どこどこの地方の地域資源というのはこれで適切かどうかという判断がなかなか難しいというふうに思います。逆に言えば、だからこそ都道府県がそういうところを掘り起こしをするという意味だと思うんですが、さっきの三谷さんの話じゃないですけれども、国がそんなことを、判断というのはなかなか難しい、だから多分うのみにせざるを得ない部分があるというふうに思います。あるいは、逆に変な指摘をすると、とんちんかんなことになるおそれがあるというふうに思います。認定の段階もそうですし、おっしゃったように、都道府県がきちっと掘り起こしをやっているかどうかというのを見るに際しても、役所、中央の皆さんだけでは判断が非常に難しい。

 そういった意味で、やはり霞が関だけではなくて、幅広い現場の経験を持っている人とか専門家とか、そういった方の意見を、計画の認定の際とか、あるいはフォロー、事後評価をするときにやはり活用しないといけないというふうに思いますけれども、何かそういう工夫はされるんでしょうか。

○石毛政府参考人 お答えいたします。

 今認定とおっしゃいましたけれども、二つのフェーズがあると思います。一つは、地域資源を指定する段階でのお話、それから、そういう地域資源が示された後に、中小企業者が事業計画をつくって具体的にそれを計画として認定する段階、二つあるわけでございます。

 最初の方の、地域資源を認定するという段階のものでございますけれども、都道府県は、もちろん県自体で相当の情報は持っていると思いますけれども、より地域資源の地元に近いところから必ずよく意見を聞いていただいて、市町村、あるいは商工会議所、商工会、あるいは中小企業そのもの、そういう方々からよく意見を聞いて地域資源を定めていただく。それを国として、先ほど申し上げましたように、一応バランスを私どものところで少し見させていただくという形が一つございます。

 それから、中小企業者が具体的に計画をつくって、各経済産業局などに提出をして認定を受けるわけですけれども、その段階では、私ども、実際に運用するときには、その局に、ある種の評価委員会的な、第三者的な委員会、いろいろな専門家の方々が入って、ここはこうした方がもっとよくなるよ、そういったような御意見をいただいて認定していく、そういうふうな形にするのがいいのかなというふうに思っております。

 いずれにしましても、現場での中小企業者の事業化の効果が上がるように、英知を集めて認定の作業をしていきたいというふうに思っております。

○北神委員 今二つの認定の部分についておっしゃったと思うんですが、事後評価というのはされるつもりはあるんですか。この法案は大体五年ぐらいだというふうに思うんですが、ちゃんとうまくいっているかどうかというフォローをすることは考えておられるのかどうか。

○石毛政府参考人 この法律を運用した後の事後評価は当然するつもりでおります。

 現に、二年ほど前に新連携という制度を発足させて、これは、異業種の分野で、すぐれたといいますか、やる気のある中小企業、そういう企業の連携事業を認定して助成をしておるわけですけれども、これについては、現時点でたしか三百十五件の認定が起こってきております。実は先日も、この事業を進めるに当たって、プロジェクトマネジャーあるいはサブプロジェクトマネジャーという方々をブロック単位に張りつけておりまして、その方々は非常にハンズオン支援という形でやっていただいております。その方々に御参集いただいて、今、どういうふうにそれぞれの事業が動いているのか、どういう工夫をしたらいいのかということを、私ども一堂に会して意見交換を行いました。

 そういうことも含めまして、この地域資源の活用についてもフォローアップをしっかりやっていきたい、効果的な運用をしていきたいというふうに思っております。

○北神委員 ぜひそれはよろしくお願いしたいと思います。

 次に質問したいのは、今度は産業活力再生特別措置法改正案についてですが、これの大きな目的として、サービス産業の生産性向上という話がある。これは先ほども議論になりました。

 私も、今、大企業主導で経済はよくなっておりますが、中小企業の、特にサービス産業はGDPの七割ぐらいを占めている、こういうところを底上げしないといけないというふうに思うんです。ただ、先ほどの議論を聞いていても、生産性を、特にサービス産業の生産性を向上させるというのはなかなかわかりにくい。ITぐらいはぴんとくるんですが、大臣もいろいろ、ものづくりの分野から、旅館の話とか、そういった技術を使ってサービス産業にも当てはめるという話もありましたが、それで大幅に生産性が上がるというふうにもなかなか思えない。

 まず、なぜ我が国のサービス産業というものが生産性が各国に比べて低いのか、その原因はどこにあるというふうに認識しておられるのかということをちょっとお聞きしたいと思います。

○高木大臣政務官 お答えいたします。

 我が国のサービス産業は多種多様であるため、生産性が低い原因は個別業種ごとに異なります。例えば、IT技術の活用がおくれていること、また、研究開発が不十分なこと、また、サービスの品質の評価が困難であるため競争が活発化しにくいことなどが原因として挙げられております。

○北神委員 それは一つの原因だと思うんですが、何でほかの国は、例えばアメリカのサービス産業は生産性が高くて、日本の場合は低いのか。これについて分析はされているんでしょうか。

○鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 今手元には持っておりませんけれども、アメリカは、ITを非常に活用しているというのと、それから、IT化するに当たっても、制度を改変することについて非常にちゅうちょしない。要するに、日本の場合は、例えばIT化する場合におきましても、今までのルールをそのまま生かしてIT化しようとするので、IT化する際のソフトが非常に複雑化して、決定的な合理化に役立たない。ただ、アメリカの方は、IT化するに当たりましては、制度自身を非常に合理化する、ITが活用しやすいようにやるというふうなことが言われております。

 一例を挙げさせていただきますと、聞いた話でございますけれども、例えば、銀行の金利を通帳に記載する場合には、何か、日本は慣行としまして、大体二月と八月にやるということでございますけれども、諸外国全般に、毎月通帳に金利は入るということで、世界じゅうのパッケージソフトは毎月金利をつけるような形でできておるので、それを活用すればソフトも簡単にできますけれども、日本の場合は慣行として二月と八月にすることになっているということで、そのソフトをあえて別につくらなきゃいけないとか、そういう問題もありまして、なかなかITの活用ができないということがあります。それは、やはりIT化する前のいろいろな社会制度、それから金融制度、会計制度、そういうところを抜本的に国際的に標準化する形で導入すれば、もっと生産性が上がるということになるんじゃないかと思います。

 そういう面での地道な工夫が今後重要になってくると思っていますので、先ほど来御議論がございましたが、サービス産業生産性協議会というのをこの四月に発足させまして、いろいろなサービス分野におきまして、何が生産性を上げる際の障害になっているのかというのを事細かくサービス産業ごとに分析をして、そういう改善に努めていきたいというふうに考えております。

○北神委員 ITと、それに伴う制度改変という話がありましたが、地道といえば地道で、それで〇・四%GDPを上げるという話ですが、そのぐらいの対策では〇・四%という根拠もなかなか見えにくいなというふうに思います。

 高木政務官にもう一度質問したいのは、おっしゃった生産性が低いと思われる要因に対して今後どうやって対処しようとされるのか、お聞きしたいと思います。

○高木大臣政務官 サービス産業の生産性向上につきましては、やはり自由な民間の活力が存分に発揮されることにより実現することが基本であると考えております。

 そのような民間の取り組みを経済産業省としてもしっかり支援するために、例えば、製造業ノウハウの活用によりますサービス提供プロセスの改善、これは、例えば製造業で使っておりますかんばん方式を病院に取り入れることによりまして待ち時間を短縮する。また、サービス産業におけるIT導入の支援、これも、例えば病院ではレセプトのオンライン化とかさまざまございます。また、サービス分野で科学的、工学的アプローチの拡大。また、サービス分野での産学連携の強化、推進。またさらに、戦略的人材育成、これは、例えば観光分野ではやはりそうした人材を文科また産業界と連携をしながらつくっていかなければいけないと思っております。また、信頼性向上のための情報提供の仕組みづくり、これは、例えばエステとか結婚相手相談紹介業とか、少子化対策では大変大事なところでございますが、ここにつきましても、信頼性をどのように向上するかということが課題でございます。

 そうしたことを今後も広く検討を続けまして、これまで主に製造業を念頭に行ってきた産業政策をサービス産業に展開してまいりたいと思っております。

 ただいまお話ございましたサービス産業生産性協議会、これが今春をめどに発足される予定でございます。ここでは、例えばベストプラクティスを創出し、またその普及啓発のための表彰制度の創設や、また産学連携の促進などを支援してまいりたいと思います。

 あわせまして、産業活力再生特別措置法を改正いたしまして、新たに今度は事業分野別の指針を策定するなど、生産性向上に向けた事業者の取り組みも支援をしてまいりたいと思います。

○北神委員 非常に地道な話ばかりで、悪いとは言わないんですけれども、今度、サービス業の生産性向上の会議をやるという話があって、具体的な内容はそこでどんどん決まっていくということだと思うんですが、その具体的な内容が決まる前に、これによって〇・四%GDPが上がるというのも非常に不思議な話だというふうに言わざるを得ないと思います。余り細かいことは聞きませんが。

 この衆議院の調査室がつくっている法案の中にアンケート調査がありまして、第百六回中小企業景況調査、ことしの一月に行われた調査で、中小企業基盤整備機構がやっている。ここは、中小企業、サービス産業に対して、何が経営の一番の問題だというふうに思われるかというアンケート調査がありまして、第一位、第二位、第三位として、これも小売とか製造業とか建設業とか、それぞれの分野に分けて書いてあるんですが、小売業以外はすべて、需要の停滞というものが一位になっているんですね。

 つまり、今まで我々は供給の話ばかりしておりまして、先ほど産政局長がたしか三谷委員の質問に答えて、成長というのは供給と需要とあると。まさにサービス産業についてはやはり需要が全然出てこないというのが最大の悩みであり、生産性を向上させるというのは、もちろん否定するつもりは全くないんですが、やはり一番根本の問題は需要の部分だというふうに思います。

 下手にIT化とか、要するに生産性の向上あるいは効率性というものを高めると、逆に、余り人が要らないよ、人が要らなくて、同じ生産力を持つ。つまり、一つの生産性向上の定義として、少ない労働力で同じアウトプットというものを確保することができるということが言えると思うんですよ。そうなると、太田委員の話じゃないですけれども、また失業がふえたり、あるいはパートや派遣というものがふえて、給料はそれほどもらえない。そうしたら、所得、環境も悪くなって、需要も余り出てこないということだったら、非常に問題だというふうに思います。

 これは私も前、パロマの話のときに鹿鳴館経済学というふうに申し上げましたが、これも結局、規制緩和とか供給の話をずっと我々日本ではしていますが、例えばタクシー業界なんかでも、皆さん御存じのように、バブルが崩壊してタクシーに乗る需要というものは物すごい激減しているのに、あんなに規制緩和してばんばん車をふやして、供給側をふやして、何をしているのかなと非常に不思議に思うんですよ。

 アメリカとかイギリスが規制緩和とか生産性の向上の話をしていたときは全然環境が違って、スタグフレーションで悩んでいて、需要に供給が追いつかない、だから供給の方を拡大しないといけないという問題意識を持っていたのはいいと思うんですよ。でも、日本は、バブル崩壊して資産価格が下落して需要が物すごい足りなかった。そういった中で、ずっとサプライサイドとかいって供給をふやすことばかり考えて、いまだに、私、それは否定しないんですよ、技術革新というのももちろん経済成長の一番基本であるから、そう思うんですが、やはり需要の方も考えていかなければならないというふうに思いますので、今回のサービス産業の生産性の話も、生産性上昇と同時に雇用の確保というものも両立していかなければならない。

 そういった意味で、個人消費活性化という部分、これは一般質疑のときに近藤委員も私も議論させていただきましたが、消費の活性化という部分も、これは簡単ではないと思います。ないと思うんですが、先ほど産政局長が三谷委員に金融の問題だろうというふうに言われましたが、そういった点を踏まえて、どういうふうにお考えなのか、あるいはそういう対策を考えているのか。

 前に、一般質疑のときに大臣にも質問したら、大臣も多分同じ考えをお持ちで、やはり消費というものが上がってこないといけない、ただ、具体的な政策については今後の話だというようなニュアンスでしたが、それについて何かお考えありますでしょうか。

○甘利国務大臣 消費を拡大させるのに、御専門でしょうけれども、サプライサイドとディマンドサイドと両方があるんだと思います。つまり、可処分所得をふやして購買力を上げていくというのは消費拡大に当然つながります。ですから、企業側の上げている収益を家計に移転していくということが大事で、今その作業は、タイムラグがもちろんありますけれども、少しずつ進んできているわけであります。雇用の七割を抱える中小企業への適正な利益の配分ということについても、ガイドラインもつくって要請をしているわけであります。

 一方で、イノベーションが消費を拡大するというのは、それまで市場になかった商品やサービスが提供されることによって消費が拡大されるという効果があります。携帯電話がなかった時代にそういう需要はそもそも存在しないのであります。しかし、携帯電話が開発されることによって、突然そこにある消費が生まれるわけでありますから、供給サイドと消費サイドと両方をどう刺激していくかという両々相まった政策が必要だというふうに思っております。

○北神委員 そのとおりだというふうに私も思います。ただ、いわゆる需要の面において、これを質問しているのは、さっき金融の部分だというふうにおっしゃったんだと思うんですよ。多分、ゼロ金利政策あるいは低金利政策の中で、需要といってももちろん設備投資とかそういう分もあると思いますので、そういったところだと思います。

 この前議論させてもらったように、これは非常に私は重要な部分だと思って、別に今ぐっと金利を引き上げるとか、タイミングの問題とかいろいろあると思います。日銀総裁が今回引き上げる前のときに上げようとしたら、非常に政治的な圧力があった。これも非常に残念なことだというふうに思っていまして、日銀の独立性の問題だけじゃなくて、経済成長戦略をどう考えるかというところで、いわゆる低金利の犠牲の部分として、やはり個人消費に非常に影響しているところがあると思うんですよ。これは貯金の利子所得の部分である。

 利子所得といえば余り大したことではないというふうに思われるかもしれませんが、九三年、十年以上前と比較すると、利子所得は一年間で二十兆円ぐらい減っているわけですね。二十兆円というのは、消費税でいえば四%とかそのぐらいの規模の金額がそのまま家計から、ある意味では移転、強制的な所得分配みたいな部分で銀行の方に行っている。

 これは、金融不安のときにやったということは私は評価しています。そのときには金融を安定するということが先決だった、だからそういった低金利政策で安定というものを図ってきた。でも、もう今は銀行は空前の利益を上げている、そういった中で、一方で家計の利子所得というものが犠牲になっている。

 この低金利政策で、設備投資といっても、こんな異常な低金利で仮に設備投資が誘発されているのであれば、それはかなり質の悪い部分も結構出てきていると思うんですよ。なぜなら、資金調達コストが物すごく低いから、別に大した見通しのない投資でもばんばんやったらいいじゃないか、そういった部分もあって、そんな設備投資というのは長期的な経済成長には到底つながらない。

 もちろん、国債の利払いの問題とか中小企業の中で借金を抱えている方の利子負担とか、そういったところはあると思いますが、金融政策の基本というのは、きちっとしたお金の流れが図られて、健全な設備投資が行われるような環境というものがやはり金融政策の一番基本であって、ほかの、今申し上げた国債の利払いとか、こんなことは付随の話である。

 そういったことを余りにも強調し過ぎて、一方で、家計の利子所得というものが減らされて、非常に大きな需要の減退につながっている、あるいは活力が出てこない大きな理由になっているんじゃないかというふうに私は思いますが、さっき産政局長がそういったことを言われたので、ちょっとお考えをお聞かせいただきたいと思います。

○鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 私の方からは、やはり経済成長をするに当たっては、我々が考えておりますサプライサイドの生産性上昇の努力も必要ですし、一方ではやはり需要サイドがないと、当然、先生おっしゃるように供給が顕在化しませんので、そういう意味で、需要サイドの一つの方法としては金融政策がございますので、ぜひ適切な金融政策をお願いしたいということでございます。

○北神委員 済みません、余りにもさらっと言われたので、ちょっと議論しにくくなってしまったんですが。

 要するに、申し上げたいのは、需要といっても、設備投資とか輸出もみんな需要ですから、個人消費というのが大事だということをやはり念頭に置いていただきたい、そして、低金利で非常にそこが犠牲になっているということを申し上げたいというふうに思います。

 それで、次は、もう一つ、サービス産業の生産性向上について、具体的にどういう分野について施策を講じていくつもりなのか。先ほど大臣も言われたし、事務方からも言われましたが、サービス産業といっても非常に多岐にわたる、そういったところで、昨年の経済成長戦略大綱で見ますと、健康・福祉、育児支援、コンテンツ、観光・集客、ビジネス支援、流通・物流の六分野を考えておられるというふうに見受けられるんですが、実際はもっと幅広く考えられるのか。何か具体的に念頭にあれば、お答えいただきたいと思います。

○鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 産業活力再生特別法において定めます分野別指針というものは、それぞれ事業を所管する主務大臣が策定することになっております。

 産業活力再生特別法の主務大臣は、八省庁八大臣でございます。例えば、観光に関することであれば国交大臣であるとか、それから、先生御指摘ございました介護、育児サービス等であれば厚労大臣というふうに、それぞれ自分の所管の業種について主務大臣というのは定まっているわけでございます。

 御指摘のサービス分野につきましても、必ずしもすべての業種について指針を策定するのではなくて、それぞれの事業を所管する主務大臣がその必要性を判断することになると思います。

 私ども経済産業省におきましては、例えばGDPに占めるウエートとか、それから他の産業への波及効果といった、そういう経済全体に与える影響とかを踏まえまして、今後、事業分野別指針を策定する分野を決めていきたいというふうに考えております。

 当面は、先生御指摘のように、経済成長戦略大綱の重点サービス六分野でございます健康・福祉、育児支援、観光・集客、コンテンツ、ビジネス支援、流通・物流などを念頭に置いて指針を検討していくことになります。

 例えば、流通・物流分野におきましても、最近非常に、生産性をやはり向上しなきゃならないということで業界でもいろいろ議論されています、例えば小売業ですとか、今後成長を期待されますゲーム産業を含めるコンテンツ産業とか、そういうものを検討していきたいというふうに思っております。

 いずれにしましても、将来的には、サービス産業の重点六分野に限らず、特に生産性向上が重要ないろいろな分野におきまして、事業分野別の指針が策定されまして、当該業種の生産性向上に向けた方向性が示されるとともに、そういう指針をもとに、いろいろな事業者がみずから工夫をされるということによりまして、本法が有効に活用されることを期待しておるところでございます。

○北神委員 それでは、まず、健康・福祉分野、これは経済成長戦略大綱にもあって、今局長が言われたように対象になるという話ですが、これについては当然、高齢化の中で、この分野は非常に成長産業でもあるし、需要もまさにこの分野においては期待できるという意味で、私も、そこに力を入れるというのは非常にいいというふうに思います。

 ただ、一方で、今の我々の日本の医療、介護保険制度の中で、ある意味では、こういった分野に力を入れれば、当然、多くの税金が保険という形で投入されることになってしまう。つまり、医療とか介護ビジネスというものが繁栄すればするほど、あるいは生産性を向上する中で高度技術とかそういったものが普及すれば、それに伴って医療保険の対象になってきたり、そうすれば当然、医療の支出というものがふえてくる部分がある。

 それは別に、皆さんにしてみれば知ったこっちゃないという話かもしれませんが、冒頭申し上げたように、財務省の呪縛がありますから、彼らは、骨太の方針の中で社会保障費の抑制を積極的に進めてきているわけですよ。今後も小泉内閣のときと同じペースで抑制していく方針だということをはっきりと定めているわけであります。

 そういった中で、もちろんいろいろな、例えばジムみたいな、トレーニング用のそういったところも医療ビジネスだといえばそうかもしれないし、それは保険の対象にならないというのはよくわかりますが、やはり高度な医療技術とかそういったものを考えて、技術が普及したりすると、医療の出というものが、税金投入額がふえてしまうということがあると思いますので、これは厚生労働省の話かもしれませんが、経済産業省として、社会保障費の抑制との関係というものをどうお考えなのか、伺いたいと思います。

○高木大臣政務官 委員御指摘のとおり、高齢化の進展や新しい医療技術の実用化に伴いまして、医療・福祉サービス市場の拡大が予想されます。それに伴いまして、社会保障費も増大することが懸念されております。

 今、財務省のというお話がございましたが、厳しい財政制約の中で、医療・福祉サービスに対する国民の期待はますます高まっておりますし、医療・福祉サービスの質の維持向上と効率化の両立を図っていくことが重要であると考えます。

 このため、経済産業省といたしましては、一つは、医療分野におけるIT活用の推進、また、医療経営人材の育成等を通じた医療機関の生産性の向上、二つ目に、早期発見、早期治療を可能とする医療技術の開発を進めております。

 一方、健康に対する国民の関心が高まる中で、さまざまな健康関連サービス市場が民主導で拡大、成長し、国民の皆様の疾病予防や健康増進、ひいては社会保障費の適正化に貢献することが期待されております。厚生労働省も予防ということを強調されていると伺っております。

 このため、経済産業省としては、科学的根拠に基づき確実に成果を出す健康関連サービス産業が発展するための基盤整備が必要と思っております。個人がみずからの健康状態を的確かつ容易に把握し、健康への投資を積極的に行えるような環境整備を積極的に行ってまいりたいと考えております。

○北神委員 もう時間でございますので終わりにしたいと思いますが、別に、私は財務省に個人的な恨みとかそういうのはございません。非常にかわいがっていただいたこともありますけれども。ただ、経済成長戦略というからには、やはり大胆にやらないと意味がないということを強く主張して、質疑を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

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