「中小企業等協同組合法等の一部を改正する法律案」について質問させていただきました。
北神質疑
2006年5月12日 経済産業委員会
○石田委員長 次に、北神圭朗君。
○北神委員 民主党の北神圭朗でございます。
引き続きまして、中小企業等協同組合法等の改正法律案について御質問したいと思います。
まず冒頭に、今回の法案は、制度の部分と運用の部分とあると思いますが、先ほど我が党の佐々木さんも言われたように、協同組合というのは、御存じのように非常に多岐にわたる、非常に大きいところもありますし、小さいところもある。制度上は、千人以上の組合員を抱える部分と千人未満というふうにきちんと分けてありますので、その部分も評価をしたいと思いますし、また、運用の部分でも、特に小さいところは柔軟に対応していただきたいということを冒頭申し上げまして、きょうは、制度の方についていろいろお尋ねしたいと思います。
基本的に、協同組合といえども、今回の法案は共済事業についての規制を強化するという趣旨だというふうに思います。普通に考えれば、保険会社であろうとどこであろうと、同じような保険商品を扱うところだったら同じような規制が求められるというのが基本だと思います。先ほど長官からも御答弁があったように、事業協同組合の方は、自治のガバナンスの部分とかあるいは相互扶助の部分とか、そういったところを考えないといけないし、小規模の部分もある、扱っている商品も基本的には短期の部分とか損保系の商品が多いということで、そこでいろいろ規制を柔軟に対応していかなければならないということでございますが、きょうは、いわゆる事前規制の部分についてもお尋ねしたいと思いますし、あと、監督検査の体制が法案で制度上はきちっと整理されていても実際の現場はどうなっているのかということと、最後にセーフティーネットの部分についてお聞きしたいというふうに思います。
まず、事前規制の部分で、兼業の禁止の規定がございます。これは、通常、保険を扱うときは、ほかのリスクの非常に高いような事業をしているとリスクが遮断されないとか、あるいは、一番大事なのは倒産リスクですね。倒産したときに、契約者が自分の持ち分をとられてしまう、全然違う事業の破綻によってリスクが契約者の方に来てしまうというところだと思いますが、今回は原則禁止をしているということでございます。ただし、行政庁が承認をすればほかの事業も可能となる。
これについて、ガイドラインみたいなものがあるのかどうか、そして、その中身についてどのようなものになるのかというものを、まずお尋ねしたいというふうに思います。
○西野副大臣 委員の御指摘になりましたのは、兼業を原則として禁止をしておる趣旨だろうというふうに思いますが、これは、他の事業のリスク遮断をすることによって、当該の共済事業がむしろ健全性を保って、あわせて組合員の保護を図ろう、こういうところにあるというふうに思っておるところでございます。したがいまして、共済事業の健全運営ということに対して影響を及ぼさない事業でありますならば、この趣旨に決して反するものではないというふうに思っておるわけであります。
例えば、ガソリンスタンドがあるといたしますれば、ガソリンを給油に来たと。あわせて、タオルでウインドーの前のごみをふき取ると。例えばそのタオルについての共同購入等々、仮に行ったとすれば、これは実はスタンド業と本来違う事業がタオル業であるわけでございますから、これらは、しかしながら、関連をいたすわけでございまして、こういう場合は、そういう意味ではむしろ兼業を閉ざしてしまうことによって組合員のいわば便益を損なうような可能性が出てくる、このように思われるものについてはこれを例外としたい、このように思っておるわけでございます。
したがいまして、行政官庁がその当該をいたします事業に対して、その組合の業務が健全に、かつ適正な運営を決して妨げるものでない、そう認められる場合におきましては、これは兼業の承認を法律上明確に規定をして厳正な審査をしておる。言いかえれば、平たく言えば、限定されました事業についてはこれを認めておる、こういうことでございます。
〔委員長退席、桝屋委員長代理着席〕
○北神委員 基本的にはガイドラインみたいなものをつくられるわけですよね、恐らく。それはないんでしょうか。そのガイドライン等、その中に、今言われたように、健全性を損なわないような事業だけを限定的に認めると。そういった部分について、簡単に言えば、リスクのない事業は認めるということだというふうに思います。
こういうふうに申しますのも、少額短期保険業者という、基本的に今回の組合の共済事業と同列に論ずるべき少短というのがありますが、そこにおいては附帯業務しか認めていないと。今回の協同組合は、もちろんそもそもの趣旨がいろいろな中小企業者が集まっていろいろな事業をやっていくということですから、そこまで限定できないというのはよくよくわかるんですが、その承認の段階で、やはりリスクのないものについてのみ認める、そういう方針なりガイドラインなりが必要だというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○西野副大臣 申し上げましたとおり、リスクを遮断するものでないという観念から、ガイドライン等につきましてはそれを示していきたいというふうに思っております。
○北神委員 では、ガイドラインというものはきちっとつくるということですね。
もう一つは、それは原則禁止ということでありますが、今回の法案を見ますと、その施行後も五年間は猶予期間があるということでして、これも現実的に実際にいろいろな兼業をしている組合が現実にある。そういった中で、なかなかすぐには移行できないという事情があるというふうに思うんですが、ただ、五年間というのはまあまあ長い期間でして、その間にそういったリスクが飛び火するような事態というものもあるというふうに思うんですね。ですから、五年間というのはちょっと長過ぎるんじゃないか、その辺何とか短縮できないかということをちょっとお聞きしたいのですが、よろしくお願いします。
○古賀政府参考人 お答え申し上げます。
今御指摘いただきましたとおり、もし非常にリスクの高い事業を長期間にわたって兼業を続けているというようなことがあれば心配な事態も出てくる、そういう御懸念というのも非常に理解のできるところでございます。
ただ、一方で、今まで何の問題もなく、健全に二つの事業をやっておったと。共済の事業は結構大きなものになるので、今回の改正によって兼業が禁止されてしまう場合どういうふうに対応するかというところを現実的に考えてみますと、では、もう本業に近いような大きな事業をやめてしまえということを言わなくちゃいけないか、あるいは、もう一つ新しく立派な組合をつくってください、こういういずれかになるわけでございます。それは、リスクのあるものであれば、私どもとしては、これは健全な経営を確保するという観点からやむを得ないだろうというふうに思っておりまして、そういう意味では、そういう組合にとっては厳しい措置になるかと思います。
その場合に、そうした組織を大幅に変更するというようなことにおいて、例えば新しい組合をつくるということになれば、またそのための資本金、出資金を集めると、これは組合員にまた新しい負担を課すというようなこと、対応が必要になるものですから、これを一年、二年ですぐやってくださいというのは、今まさに問題が起きているということであれば確かにそれはもう早くやらなくちゃいけない、こういうことになるかとは思いますけれども、今まで共済で問題が起きたのは一件だけでございまして、では現に今続々とそういうものが出てくるかというと、そういう状況でもないという中では、五年程度の間に、もちろんその間も万一財務状況が少し悪くなっていくよというようなことが見受けられれば、これはいろいろな監督の手段というのはございますので、そういったことも使いながら、五年という長い期間を設けたことによって何か不測の事態が起こるというようなことはないように十分気をつけながらやらせていただきたいということで、この五年というのはぎりぎり必要な期間かなというふうに考えております。
○北神委員 大体その事情というのはよくわかりましたが、その間に、そういうある程度リスクのある事業を兼業しているところについて特に注視をして、何かあったら対応していただくということだというふうに思います。
では次に、募集の問題について移りたいと思います。
いろいろこの共済に関係する事件が多発している中で、苦情件数もどんどんふえている。その大半がやはり募集をめぐる説明がきちっとなされていないというところが大きな原因だというふうに伺っておりますが、今回の法案で重要事項の説明義務というものが入るということであります。ただ、この保険というのは、御存じのように、極めて複雑な専門的な分野であります。保険会社とか、さっき申し上げた少額短期保険業者、こういったところが募集をするのと、組合で、中小企業者というのは一般の消費者よりは知識は高いというふうに思うんですが、こういった方が当然募集をするということになると思います。これについて、保険会社だったらいろいろな資格試験とか、そういった一定の資格要件みたいなのがあると思うんですが、今回、そういうもの、組合について募集人の資格というものをどのように考えているのか、その点について伺いたいと思います。
○古賀政府参考人 お答え申し上げます。
今、募集人の質を上げていく必要がある、教育をしっかりやらなくちゃいかぬという御指摘でございまして、これは本当におっしゃるとおりだと思います。
共済事業の内容が年々多様化し、あるいは複雑化していく傾向があるということでございまして、そういうことを踏まえれば、当然そういったことをよく考えていかなければいけないということだろうと思います。今回、代理店制度なども設けまして、それとともにかなりの行為規制をきっちりする、今までほとんどなかったというものを入れさせていただくということで、重要事項もしっかり説明しなさいというようなことをかなり具体的に規制をしていきたいというふうに考えております。
そうした規制を課すということは当然その実効性を担保しなければいけないということで、これは単に規制で取り締まりますよと言っていれば済むというものではございませんので、おっしゃるとおり、共済募集人の質を上げるために、教育というものをいかに適切に行っていくかということが重要になってくるわけでございます。
それで、複雑というふうに御指摘ございましたけれども、幸いにして、今共済組合が行っている事業というのは大部分が短期の掛け捨てというようなものが中心でございまして、ほかの保険会社がやっているものに比べれば比較的簡易なものが中心になっておりますので、そういう状況も踏まえまして、早目にそういう教育というのを進めていかなくちゃいけないということでございます。
それを行っていくときに、組合の連合会というような組織もございますし、それから中小企業団体中央会というような、組合の全体を指導、教育なんかもやっている中央的な組織もございますので、こういったところでぜひ積極的にやっていただきたい。
そのために、行政側としても、その中央会とかあるいは連合会、そういったところと十分連携をしながら、そういうところを通じて、各組合が募集人に対してどうやって教育をしていくのか、質を上げていくのかということをしっかり取り組んでもらうようにということで努力してまいりたいというふうに考えております。
○北神委員 ある程度行政から教育をして、その中央会とか連合会とかを通じてどんどん下におろしていくということだと思いますが、中央会というのはちょっとわからないんですが、連合会というのは比較的大きい共済事業をやっているところが多いと思うんですが、小さいところにも行き届くのかどうか。
そして、行政側が指導するということですが、これは経済産業省が主になってやるのか。というのは、募集で多分重要なのは、いかに自分たちの共済が健全かということを説明しないといけない。後ほどまた質問させてもらいますけれども、保険でしたらソルベンシーマージン比率とか、非常に複雑怪奇な指標が用いられる。皆さん優秀だと思いますが、これは専門家で、例えば金融庁の保険に実際に携わった人とかそういった人がやはり動員されないと、こういうことをなかなかちゃんと説明がなされないんじゃないか。
そういったところがやはりきちんと確保されなければ、募集人が幾らその教育を受けてもしっかり一般消費者とかあるいは組合員に説明義務を果たせないということだというふうに思うんですが、その点についていかがでしょうか。
○古賀政府参考人 御指摘のとおり、連合会というものに所属している共済をやっている組合というのは、比較的大きなところが中心かと思います。
小さなところで、連合会に入っていないようなところにつきましては、中央会というのはもちろん全国組織もございますけれども、各県ごとに県の中央会というものもございますので、そういうところを通じてその教育あるいはいろいろな法令の知識についての周知というものを図るということもございますし、それから都道府県に対しても、そういうことをしっかり指導してくださいということは、これはこの募集人の教育だけではございませんけれども、そういったことについてしっかりと連携しながら、十分にそういう実が上がるように努力をしていきたいというふうに考えております。
○北神委員 後半の、専門知識というものは、やはり金融庁とかそういうある程度専門的な知識を持った人たちがやるべきだというふうに思うんですが、その点についていかがでしょうか。
○古賀政府参考人 おっしゃるとおり、この法律を、そもそも改正案をつくるときにも金融庁の方とは十分に相談をさせていただいておりまして、いろいろな知見もいただきながらやっておりますし、従来から、運用についてもいろいろ御指導いただいたり、いろいろ情報交換をさせていただくというようなこともやらせていただいております。
今回、こういう本格的な規制体系を導入するということでございますし、それから保険業法の方も改正されたばかりということで、金融庁の方でもいろいろな取り組みもさらに深めておられますので、そういったことについて、私どもとしても、ぜひ金融庁が今まで培ってきましたノウハウあるいは教育についてのそういった手法とか、そういうものを十分教えていただくという姿勢でしっかりやっていきたいというふうに思っております。
〔桝屋委員長代理退席、委員長着席〕
○北神委員 ぜひそこはお願いしたいというふうに思います。私も、ぎりぎり規制をどんどん強化すべきだとか、そういうふうに聞こえるかもしれませんが。
次の質問なんですが、一つ懸念をしているのは、組合員だけだと、相互扶助だけの世界だったらまだそんなぎりぎり言わなくていいというふうに思うんですが、実際に今回の法案を見ていると、員外利用、つまり、その組合員以外の方にも募集をかけて共済に入ってもらうことができるというふうになっているんですね。これは二〇%まで認められている。多分、組合員の二〇%だということだと思いますが。
それで、要は、これは相互扶助の理念からもやや逸脱する部分もありますし、そのリスクが外に波及する、一般消費者にも波及する。そういったことについて、私は、これは多分、もともとその組合のほかの事業について員外利用というものが二〇%決められていた、これが共済に自動的に適用されてそのままずっと続いているという経緯だというふうに思うんですが、やはり共済というのは、まさにこの法案の趣旨が物語っているようにリスクの高いものだ、したがって、ほかの事業とはやや話が違っていて、私は、基本的に員外利用というものは、すぐにかどうかはわかりませんが、徐々に減らしていかないといけないというふうに思うし、最後は禁止もしていいんじゃないかというふうに思うんですが、その点についていかがでしょうか。
○西野副大臣 組合員のこの利用に支障を来すというようなことになりますとこれは大変でございますので、そうでない限りにおいておおむね二〇%ぐらいまで、他の組合、現に農業協同組合等々もそうだろうというふうに思います。
ただ、委員がお示しの、これは他の事業と違って共済事業であるという今御指摘でございますし、そこには経済的な裏づけも関係することだけに、そのあたりは非常に厳密に志さなければならぬというふうにも思うわけでございます。
したがいまして、注視しなきゃなりませんけれども、今日までは、他の事業でこの二〇%の員外利用ということで特段弊害が起こったという例は余り聞いておらないところでございますので、今後注視して見守っていきたいというふうに思いますが、あくまでも組合でございますので、相互扶助というこの基本理念、そういう精神を逸脱することのないような事業展開というものに、しっかりと確保ができるように努めていくべきだというふうに思っております。
○北神委員 そもそも、員外利用を認める意義というのは何なんですかね、この共済について。何かメリットがあって、それがそのデメリットを上回るんだったらそれを認めるというのはわかるんですが、特に共済についてですね、それについて伺いたいと思います。
○古賀政府参考人 お答え申し上げます。
やっている事業が保険ということでございますので、そうしますと、なるべく、できれば規模は大きい方がむしろ安定という意味では、大数の法則というようなことも言われますけれども、小さくやっているとむしろリスクが大きい、大きくやった方がリスクは下がるという面がございます。
もともと共済、共済というか組合でいろいろな員外利用を認めたというのは、多くの場合は、例えば、家族従業員あるいは親類とか、それから取引先がかなり多いような場合に、その取引先の社長さんが、そういういいのがあるんだったら入れてくれよというようなところから始まってきたというふうに考えております。
では、それが二割も要るのかということにももちろんなりますけれども、二割程度であれば、それがどんどん拡大していって、相互扶助の精神を失った何か違った営利目的だけの組織になってしまうのかというと、そういうことでもない。
それから、共済についていえば、数がふえることはむしろ安定にはつながりますし、それから、この数が、員外利用がふえたから何か問題が起きたというような事例はもちろん一つもございません。
それから、何か共済事業をやっている組合がすごくたくさん危ないのがあるというイメージが、一つ破綻しますとどうしても出てくるわけですけれども、必ずしもそういうことではなくて、かなり多くのところはむしろ健全にやっていただいているということでございまして、そういうところにしっかりした規制をかけて財務基盤を安定させる。そのときに、他の事業と同様に、二〇%程度員外利用を認めて規模を拡大することによって、合理化とかあるいは保険そのものとしての安定性というものに資するというようなことをやっていくというのは、むしろ合理的ではないかなというふうに考えているところでございます。
先生が御指摘になりました、全然知らない人を無制限に、一般消費者にうまいことを言ってどんどんふやしていくんじゃないかというようなそういうイメージでとらえると、これはもうどんどん縮めた方がいい、こういう感じになってくるわけですけれども、そこはむしろ、健全な経営と、それから先ほど御指摘のありました、募集人が変なことを言ってだまして契約をとるというようなことがないようにしっかりした教育、こういうことをしっかりやっていくという前提でそういうものを認めていっていいんじゃないかなというふうに考えております。
○北神委員 保険の安定性、要するに、数がふえればふえるほど安定する、大数の法則ということですよね。それも、本当は生命保険とか長期契約の部分についてはそういうことが言えると思うんですが、さっきおっしゃったように、協同組合というのは基本的には短期の損保的な商品が多い。
そういった中で、普通そういうのは、大数の法則というよりは再保険とか再々保険で基本的にリスクを守っていくということだというふうに思いますので、二〇%員外利用で資産運用が安定するとはちょっと思えないんですが、事情は、多分、今までほかの事業について二〇%と決めていたから、今回、共済事業について自動的にそうなったということであると思います。それで、今言われたように、一般の消費者にどんどんふやしていくようなことさえ起きなければいいというふうに思って、私もそのとおりだと思います。現状問題がなくて、これからどんどんふやしていく、拡大していくようなことがなければ別に問題ないのかもしれません。
この法案で、もう一つ懸念しているのは、共済の募集について共済代理店というものを設けている。この共済代理店というのは、組合の委託を受けて、当該組合のために共済契約の締結の代理あるいはその媒介をするということなんですよ。これは、平たく言えば、信金とか信組とか金融機関が恐らくその窓口になって協同組合の共済を募集する。こういうものを設けていること自体、あれ、どんどんふやしていくつもりなのかなというふうに思わざるを得ないんですよね、だからお聞きしているんですけれども。
だから、そんなものを何で設けるのかなと。限りなく、相互扶助の精神からややずれてしまって、営利目的の方に移っていくような印象さえ受けるんですよ。それは、そもそも協同組合の設立の趣旨から、精神から反することではないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
○古賀政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のとおり、今回の改正の中には、金融機関による共済商品の募集を可能にするような措置というものが含まれております。ただ、もちろん、この場合であっても二〇%というのは引き続きかかっているという前提ですから、何かそれによって今までの枠が外れて拡大するということになるわけではございません。
それと、例えば、銀行の窓口で、一二〇%もう枠がいっぱいになっちゃっている組合があって、それでそれよりもっと拡大したい。そのときに、組合員を獲得することを銀行に頼んで、例えば融資先だから組合員になってくれるんじゃないかというようなことで組合員を獲得する、一緒にやってもらうというようなことになると、今まさに御指摘いただいたように、何か、相互扶助ということじゃなくて、全然関係ない人をどんどんかき集めてくるんだ、こういうことになってしまうものですから、そこのところは、当然、もちろんそういうことをやりたいというところもあるわけですけれども、あくまでも二〇%の枠があいていれば銀行でやってもらってもいいですよ。ただ、枠がいっぱいになっているのに、組合員になるところまで銀行にやってもらいます、これはやめてくださいということになっております。
ですから、組合員勧誘まで含めて銀行がやるというようなことはやらせないという形になっておりますので、今までの枠が何か変わるということではないというふうに考えております。
○北神委員 なかなか納得しにくい部分がありますが、私の提言とさせていただきたいと思うんですが、やはり、共済代理店制度というのもいまいち相互扶助の精神から反するし、実際に何も問題が起きなければいいんじゃないかという話もあるかもしれませんが、基本的に、共済事業というのは組合員の相互扶助そして自治ガバナンスのもとでやるということだと思っていまして、後ほどまた質問させてもらいますが、そういったものにやはりどんどん限定していくべきだというふうに思いますので、ぜひ、共済代理店制度とかあるいは二〇%ルールも含めて、今後検討していただきたいというふうに思います。
次に、もう一つの規制である最低出資金の話に移りたいと思います。
これも、健全性を図るために今度は最低一千万円以上ということになっておりますが、これは少ないといえば少ないというふうに思うんですね、保険金額で一千万円超える商品もあると思いますので。その点について十分と言えるのかどうか、お聞きしたいと思います。
○西野副大臣 最低出資総額の件だと思いますが、これは、この法律が制定された当初は、昭和三十二年当初のようでございまして、この当時はスタートは二百万であったわけでございますが、その後、物価指数の上昇に伴って、出資率につきましても出資総額についてもそれにスライドをいたしておるところでございまして、昭和三十二年ぐらいから今日までで総額にしましたらおおむね五・七倍ぐらいだということになりますと、単純に掛けまして今お示しの一千万、こういうことに相なっておるわけでございます。
しかも、これはまた他の例でございますが、保険業法におきまして、少額短期保険業者の最低資本金額もございます。これなんかもちょうど一千万でございまして、それとこれと同じだということではありませんが、他の類似したものと比較をした中で、現実的なものではないのかな、妥当的なものではないのかな、このように思っておる次第でございます。
○北神委員 少額短期保険業者も確かに最低出資金が一千万円以上だということですが、これもさっきの話とかかわってくるんですが、これは協同組合で相互扶助の精神でやるということなんですが、少額短期保険業者の方は、最低出資金は確かに一緒だ、でも一方で、給付金の限度額とかが決められているわけですよね。死亡金については三百万、ほかのものについては一千万円、給付金の方は限度が決められているんですよ。それで、例えば期間も一年のものしか認められない。
いろいろなそういう規制がある中で最低出資金は一千万円で大丈夫だろうという判断だと思うんですが、今回の協同組合の方は、むしろそういう方向で限定すべきだと私は思うんですが、これは青天井なんですね、給付金額も。つまり、幾らでも設定できる、短期、長期というのも自由に選択することができる。長期は、それでも二割ぐらい現状あるわけですから、そんな少ないとは言えないというふうに思います。
ですから、そういったことを考えて、特に少短との比較において本当にこの一千万円で大丈夫なのかなという懸念があるんですが、いかがでしょうか。
○古賀政府参考人 今御指摘いただきましたとおり、確かに、少額短期保険業者の場合に給付金の限度額があるとかそういう違いがあるということは事実でございます。
ただ、これは、今これから一千万円に上げていただこうということで、かなり大変な負担をしていただくことになるところもある。もう既にもちろん一千万というところもあるわけですけれども。そういうような現状ということも考えますと、先ほど来の御指摘の中には、むしろ逆に今度の規制でせっかくやっている保険事業が続けられなくなるなんという、そんなことはちょっと行き過ぎじゃないかというような御指摘もいただいておりますし、そうした御意見というのはこれまでの私どもの議論の中でもいろいろいただいているところでございます。
そういう中で、もちろん最低出資金というのがそれだけで健全性の確保のメルクマールになるということでなく、これはあくまでも一つの手段でございまして、特に事業を始めるときに、ある程度の規模のことをやるのに、その出資金、全然ゼロでやるというのも、ゼロと言ったらおかしいですが、非常に少ないというのもいかがなものかということがございますので、その程度は必要かと思っておりますけれども、この最低出資総額の規制のほかに、特に大きなものについては、先ほど来お話に出ておりますような財務の健全性の基準とかそういったことによって、全体としての財務の健全性を担保していくという考え方になっておりますので、そういう意味では、いろいろな現実的な問題をどうやってクリアしていくかということと、それからそれ以外のいろいろな規制をしっかりやっていくということをあわせて考えれば、この一千万円というところが現実的に最も妥当なところかなというふうに考えております。
○北神委員 いろいろ苦しい事情があるというふうに思います。でも、その規制を私は評価はしているんですよ。これは、今までゼロだったところを、こういう規制を設けてたくさんある協同組合をまとめてこういうことをするのは大変なことで、大臣初め皆さんも大変な御苦労があったというふうに思いますが、そこはもう今後の課題ということで私は申し上げているつもりです。
もう時間がないので、一番大事なことは、こういった規制を、いろいろなちょっと緩い部分とか穴があいている部分とかある。それは現実の今の協同組合を見るとしようがない。そういう考えに立った上で、実際に監督検査を、これはほとんど都道府県が所管行政庁になるというふうに思うんですが、本当にこれをできるのか。
これは大臣もぜひ聞いていただきたいんですが、きのうレクの際に、今の都道府県の検査監督の体制は何人ぐらいいるのかとお聞きしたところ、わからないと。わからないのに、これはかなり厳しい、大変な規制だと思うんですよ。これは監督、そして随時検査をすることも可能だという規定も入っていますが、そんな体制がどこにあるのかと。あるのかもしれませんよ。でも、それを把握していないということは、やはり極めて問題だというふうに思いますし、これは施行が来年ですからまだ一年ありますけれども、その点についてどういうふうにお考えかというのをぜひお聞きしたいというふうに思います。
○二階国務大臣 お尋ねのように、都道府県を単位とする組合の多くは各都道府県の所管となっておるわけでありますが、都道府県が所管する組合が破綻し県民の皆さんに大変大きな迷惑を及ぼした事例というものもあるわけでありますから、これは議員の御指摘のとおりだと思っております。
都道府県における監督体制の整備は重要であり、各都道府県に対しましても、認識を共有していただくべく各県の知事等との間の連携も十分とってまいりたいと思っております。
経済産業省といたしましても、法の円滑な施行に向けて、監督実務のマニュアルをきちっと作成して、各都道府県の担当部局を支援する。そして、必要に応じて、人員の体制、また金融庁と我が省との間の人事交流等も十分考えております。人事交流も事務的に進めておるようでありますが、はかどらないようであれば、私から直接大臣に申し上げて、直ちにそういう体制をとりたいと思います。
質問に伺った者が何と答えたかわかりませんが、私が責任を持って対応いたします。
○北神委員 ありがとうございます。
本当に私は、これはいい方向で動いていると思いますので、現場の体制というもの、受け皿というものがきちっとなされなければならない、大臣のリーダーシップでぜひそこをお願いしたいというふうに思います。
最近、いろいろな法律が目まぐるしくどんどん改正されて、受け皿を全然整えないうちに法律ばかりがどんどん変わっていく。これは、今回のこれだけに限らずそういった傾向がありますが、そこがないと結局絵にかいたもちになりますので、ぜひそこの体制についてしっかりやっていただきたいというふうに思います。
そして、人事交流のところも、金融庁の検査のノウハウとか、共管にするとまでは言いませんが、やはりそこをぜひ活用していただきたい。そういうことをしなければ、せっかくこういう規制を設けているのになかなか実行に移せないという問題があるというふうに思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
セーフティーネットの問題で、保険会社は保険契約者保護機構という、銀行でいえば預金保険機構というところに、みんな負担金とか払って、もし会社が破綻したときに契約者が損をしないように、ちゃんと保護するように積み立てをするという仕組みがあります。
少額短期保険業者の方は供託金を積む、供託金を積んで破綻をした場合にちゃんと契約者を守るということになっているわけでありますが、今回、協同組合についてはそういったセーフティーネットがない。そのかわり、何か問題が生じて財務状況が悪化すれば給付を削減することができる、保険金をですね。あるいは追徴、組合員からさらに、ちょっと今お金が足りないからもっともらうぞということができる。これをもってセーフティーネットのかわりにするということなんですが、これは私はセーフティーネットの趣旨から全然ずれていると思うんですよ。これは単なる破綻防止をするための措置であって、要するに、財務状況が悪くなって、保険金を減らすぞと。それで財務状況を改善するとか、組合員から追徴してお金をどんどん取り立てていく。それで破綻を防ぐという意味では有効かもしれませんが、これは結局、契約者にとって、どんどん損をするわけですよね。だから、これはセーフティーネットじゃないんじゃないか。
そういった意味で、むしろちゃんとしたセーフティーネット、供託金制度みたいなものを設けるべきではないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
○片山大臣政務官 委員御指摘のとおり、今回のこの法改正につきましては、共済事業を行いますすべての組合に対して共済の掛金の追徴があり得べしよということと、共済金の削減があり得べしよというようなことに関する事項を定款に書いてくれということを法律で義務づけておるわけでございますが、今までは、実態として、仮にお金が足りなくなったら、これはやらざるを得なかったわけですね、ほかに何もないから。それを今回法律にしたわけでございます。
組合員の制度というか趣旨、今回もこれはずっと議論しているわけでございますが、組合員が痛みを分かち合いながら共済事業を継続させるという相互扶助においた精神に基づく一連の制度なんだということを考えますと、やはりこういったことがあり得べしよということを定款に書いておけば、逆に、身の丈に合ったような加入者になり、身の丈に合ったような組合になっていくということがあるわけでございます。
供託金というのは、もちろん保険業法の改正で導入されたもので、単に一千万円以上外積みということでございますので、これは現実に、厳密に他業種のようなセーフティーネットの算定ができているということではないわけですよ、それはもう委員はお詳しいから御存じでございますが。
だから、額が大き過ぎるようなものを積ませることにすると、組合が相互扶助の小さい制度であることを考えると、圧迫してしまうし、また、これが少な過ぎると実効性がないということで、なかなかその辺がもう認めがたいようなもので、ですから今回、実効性を確保するのが難しいので導入を見送ったということでございまして、全く考えていなかったということはないんですが、組合が相互扶助の制度ということであれば、こういったことを定款に記載することを義務づけることによって、おのずと身の丈、健全経営の方になっていくという形で維持をしてまいりたいということで、導入後はこの趣旨を十分に理解していただけるように適切に指導してまいりたいと考えております。
○北神委員 なかなか現実的に難しいということだというふうに思いますが、これもあわせて、先ほど申し上げていることと同じように、今後の検討課題としていただきたいというふうに思います。
最後の質問になりますが、協同組合について、共済事業の中で基本的にどんな商品を扱ってもいい、例えば共済計理人を置くのも、長期契約とか配当をするような商品を扱うときには必ずつけないといけないとか、そこら辺は非常に自由になっている。
私は、一番冒頭に申し上げたように、やはりこの協同組合の、先ほどどんどん皆さんから話があるような相互扶助の精神に基づくのであれば、基本的には、自動車保険とかあるいは火災保険とか、そういう自分たち中小企業者の業務にかかわるような、言ってみれば損害補償的なそういったものに限定すべきではないかと。先ほど言った少額短期保険業者の話もそうですが、一年のものに限って保険金の給付の金額も限定していくべきではないかというふうに思いますが、これが多分、いろいろな規制がありますけれども、そこさえ確保すれば、そんなに問題はない。そして、それこそ協同組合にふさわしい共済事業だというふうに思うんですが、これも、中期的な課題として、その方向に持っていくべきではないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
○片山大臣政務官 確かに、委員御指摘のようなお考えというのは当然あり得ると思います。
現時点で長期にわたって共済掛金を積み立てるような共済商品を取り扱っている組合は、今のところほとんどないという状態ではあるんですが、今確実に、現実に禁止しているわけではないわけですが、現実に規模を見てみると、ほとんど難しいかなという気もいたします。他方、相互扶助の精神で、協同ということですから、ここに厳密な業法規制、何とか業法のような行政規制を持ってくるのも、これはなかなか難しいんですよね。
ですから、今回はそのようになっているわけでございますが、健全な運営を確保するという目的は、今回の法改正の目的でございますので、当然、組合がこういう契約期間が長期のものを扱う場合には、共済計理人、アクチュアリーのような者の関与を義務づけるとか、いろいろなことをすることによって全体の健全性が図られるようにやってまいりますし、中長期的には委員御指摘のようなことも当然考えていくということだと思います。
○北神委員 ありがとうございました。
基本的に、今回の改正というのは非常に大きく前進したものだと思いますが、そういった穴とか、協同組合の精神にふさわしいような共済事業にこれからしていくべきだということを再度要請いたしまして、質問といたします。
ありがとうございました。
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